2013/11/17

[Travel Writing] 深い信仰心が眠る島 - 前編

秋の九州の旅の最終目的地は、長崎から西へ100km、大小合わせて140あまりの島々から構成される五島列島最大の島、福江島へ。長崎から飛行機かフェリー(もしくは高速船)で渡ることが出来ますが、比較的欠航の少ない飛行機で渡ることにしました。

きっかけは、そこに住む友人の、SNS上の投稿から。
しかもその投稿は、単に「昼飯食いに来いよ」的な内容でして、普通なら東京に住む人間が昼飯食うためだけに五島へ行くのはもはや道楽中の道楽。というか、一般サラリーマンの当方としてはまずもってあり得ない行動です。しかし、竹田~軍艦島の旅程を組んでいる中で、たったの1泊2日くらいで、折角の九州の旅をそのまま帰るのは勿体ない、かつて3か月連続で九州を行ったり来たりする(それも仕事ではなく私用の旅で!)という、バカな金の使い方になりかねない。どうしよう… と思案していた時の投稿でしたので、すぐさま食いついたのでゴザイマス。 (´∀`;)
当初は、五島市の市街地を中心に、レンタサイクルで回れるところを回って写真に収めていこうかな、という計画でしたが、まさかその友人が、2日間予定を空けていただいているとは思いもせず。島内巡りをご一緒していただいたのです。おかげさまで、自転車では周遊しきれなかったところまで色々と回ることが出来ました。

ということの見返り、というわけではないのですが、福江空港に到着するや否や、まず最初に訪れたのが、香珠子海水浴場。既に11月の冷たい海水で、当然海水浴をするわけではなく(というより濡れてもいいもの持ってきてない…)、やったのは海岸清掃。
しかし当方、学生時代に海岸清掃のボランティアをやっていたこともあり、何ら抵抗もなくあっさりと受諾。とはいえ、到着した時にはあらかた綺麗になっていましたので、あまりすることなかったのですが… (´∀`;)
まぁそこは、無駄に培った体力を使って、撤収作業に勤しんだわけです。




撤収作業が終了し、作業に携わった人たちを囲って豚汁で打上。打上終了後、友人の車に乗せていただいて、島を周遊して回りました。




ご存知の通り、長崎の五島列島は特に教会の多い場所。九州の、さらに西の地方にあるという土地柄もあってか、隠れキリシタンが迫害から逃れるように住む場所だったため、大小さまざまな教会が建てられています。とは言え、それらの多くは、宗教の自由が保証された明治以降のものばかり。まぁ単純に建物だけを見ればそれまでですが、迫害によって苦しんできた隠れキリシタンの、何十年に渡る隠匿の生活は、想像以上に厳しく、筆舌しがたいものがあります。
それを今も色濃く残している史料が、堂崎教会にあるのですが、それは明日回ることにします。

それと同じく興味深かったのが、福江島が織りなす自然と、政治的・軍事的の背景。特に後者は、単に『興味深い』という言葉では片づけられない、というより、むしろそんな言葉で表す方が失礼な部分も含まれていたりします。
一口に福江島と言っても、その海岸線の成り立ちや気候は様々。堂崎教会のある奥浦や大瀬崎灯台がある玉之浦は、リアス式海岸。入り組んだ海岸と切り立った崖、ごつごつした岩肌。外海の荒波にさらされて出来上がった自然の産物は、その自然の恐ろしさを象徴するに容易いものがあります。かと言って、頓泊海水浴場のように、穏やかでしかも干潮になると沖の方まで歩いていける、つまり満潮になっても、子供でも結構な沖の方まで行くことが出来るところまであったりします。多様な海岸の趣を一度に感じる、稀有な例でもあると言えます。
そんな風土だからか、何と本土では希少で絶滅危惧種にも指定されている生物が、なんとここで豊富に生息している、なんてことも。そんなこと、その友人に案内してもらわなければ、絶対に分からなかったことです。
あ、勿論無断で採取・捕獲は禁止されておりますので悪しからず。

同じく、友人から聞いた話で興味深かったのが、福江島の政治的・軍事的な立ち位置。詳しい話はこのBlogでは避けますが、聞けば聞くほど、そんな話は東京では聞かない、ネット上ですら、注意深く探らない限り、トピックスにすら挙がらないものばかり。興味深かったことと裏腹に、自分の現在の情勢の無知っぷりに愕然としたものです。
でも、それらの情報がたとえ目にし耳にしていたとしても、きっと「ああ、そうなんだ」と単なる情報取得だけに終わっていたような気がします。これは、現地に行かなければ実感出来なかったこと。何て言っても、福江島のすぐそこは東シナ海。外国からの様々な影響を一番に受けるところなのです。東京でのうのうと生きているだけでは、分からないものがあります。
とは言え、毎日が緊張の連続ではそれこそ精神上よろしくありませんので、福江に住まう皆さんは本当に大らか。そして、その島に住む人たちならばこその、芯の強さがあるように垣間見えました。


夜は、一度ホテルにチェックインした後、友人のお勧めのお店で夕食。福江島で獲れた魚に舌鼓を打ちながら、秋の夜長を楽しみました。

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