2012/12/29

[Travel Writing] 年末の雪の静かな宿場町

2012年は、色々な意味で変化の年だった。

これまでコンパクト・デジカメを携え、方々に回ったものの、撮影する対象は綺麗と思うだけで記録の対象とでしか見ていなかった。それが、Google+というSNSにアップされる写真の数々に触発され、ただの記録ではなく、作品としての価値を見出したいと考えるようになった。
2月にミラーレス一眼を購入し、12月に一眼レフを購入した。1年の間に、カメラにこれだけ、それも自分のために投資したことは無い。加えて、Google+に加入して初めてオフ会やPhotowalkにも参加した。今まで見ることすらなかった、街中の何気ない景色や小物、ほんの些細な出来事。それを写真に収める動きをした。写真を撮ることも面白さの幅を徐々に広めた反面、その幅が自分の中で収まりきれない、まとまりきれない部分も出てきている。
だが、とにかくカメラを色々なものに向けなければ、自分が何が好きで、何に夢中になって、何を面白いと思うのかが分からない。旅にしても写真にしても、面白いと思ったものの、どこか冷めた目で見ていたことも確かである。夢中になれるものを探す一つの契機になれるのだろうか。まだまだ未知数な部分が多い。

加えて、7月にレーシックの手術を行った。今住んでいるところの契約更改を含め、今年1年は色々な動きをしたし、そしてお金も恐ろしく使った年でもある。せめて、貯金を崩すところまではいかなかったものの、全く貯金をしなかったことは確かである。 (´∀`;)
そんな大きな変化が伴ったからこそ、年末であるこの時期にたまった疲れは大きい。でも、決して悪い気分ではない。むしろ「あー、今年一年やりつくしたなぁ!」という、一種の達成感にも似た疲れだ。まだまだやりたいことは数多くあるけれど、面白い一年だったと思う。
そんな一年の疲れを癒すために、日帰り(疲れを癒すのに日帰りというのもないかと思うが…)で旅をした。行先は、長野県塩尻市にある、奈良井宿だ。

奈良井宿散策 - 一奈良井宿散策 - 二

中山道の宿場町で、現在も重要伝統的建造物群保存地区として、当時の町並みが保存されている。『宿場』町という場所柄、かつては旅館としての建物が多く存在していたと思うが、今はそれはあまりなく、土産物店や喫茶店、蕎麦などの軽食店として軒を連ねているところが多い。その土産物も、木工や漆器が多く、特にしゃもじや櫛等、漆器に見られるような精緻で美しい絵柄は無く、素朴ではあるものの、寒い地域の中にほんの少しの温かさを感じられる。

ただ、晴れ渡っているとはいえ、雪が積もり、つんざくような空気があたりを張り詰めれば、歩き続けてもいやでも身体は冷えてくる。腹ごしらえに、この地域ならではの『すんきそば』をいただくことにした。
かぶ菜を乳酸発酵させた、木曽地方独特の食品『すんき漬け』を用いた蕎麦だ。発酵したかぶ菜の酸っぱい味が、食欲をそそる。年末ということもあって、客はほとんどおらず、店のおかみさんのご厚意もあり、少々お大盛りをいただいた。が、あまりに量が多いと、すんきのすっぱさが少しくどく感じてしまったのは言うまでもない… (´д`)


雪の太鼓橋鎮神社

奈良井宿は温泉地ではないが、奈良井宿から少し歩いたところに、『ならい荘』という宿泊施設があり、そこに奈良井宿唯一の温泉がある。ここも、年末というだけあって、宿泊者の気配が全くと言っていいほどなかった。しかし、施設そのものは開いていたので、宿のご主人に頼んで、温泉に入らせてもらった。人の気配がなかったのに扉が開いていたし、そもそも営業をしていたのか気がかりだったが…
また、人がいなかったこともあって、温泉のお湯もあまり張っていなかったらしい。僕の来訪で急遽湯を張ってくれたようだ。特に予約をしているわけでもなかったのに、ありがたい。 (´∀`)

温泉に入った後、ならい荘の主人と少し雑談で話をした。この日の前日、松本~塩尻地方ではかなりの雪が降った。長野は、スキー場が多数あることから、全域が冬になると雪に覆われるように思われるが、実際のところは北アルプスや諏訪地方に集中するも、松本や南側の平野では、そんなに雪は降らない。そんな中でも、20cm超の雪が積もるのは比較的珍しいことであるという。
事実、僕も雪を目当てに奈良井宿に来たわけではないが、奇しくも雪化粧で、且つ青空の下の宿場町散策が出来たのは、幸運に恵まれたと言っていい。嬉しい予想外である。
まぁ、年末と言うこともあって、いくつかの施設は年末年始休業に入っていた。そこが少々心残りかもしれない。夏の、大いに人が賑わう時期に、また足を運べたらいいと思っている。



奈良井宿 (Narai-juku)
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2012/12/17

[Review] 007 スカイフォール

007シリーズ23作目にして、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる3作目の作品。
まだまだどこかに不完全さを残すも、それが冷酷の中に人間の温かみを持つ『人間・ジェームズ・ボンド』がスクリーンに現れます。『カジノ・ロワイヤル』では、冷酷を装った熱血人間で、徐々に任務をこなすにつれて冷酷さを芯の深いところまで身に着けていくのですが…
ダニエル・クレイグが演じるならではのジェームズ・ボンド、というところでしょうか。

『007』シリーズと言えば、イギリス発のアクション映画の金字塔宜しく、世界中で愛される作品となっていますが、元々この作品は、20世紀半ばの冷戦時代から続く作品。映画化され、ショーン・コネリーが演じる時は、それこそ最新機器や車が勢ぞろい、といったところですが、今ではほとんどが見慣れたものになっています。
それは、映画の中でも『現実さながら』の様子として表現され、兵器開発班のQが言うように、「ミッションはパジャマ姿のままモニタの前で行うことが出来る」ように。それ故、危険な目に晒されるエージェントの存在が時代遅れと称され、MI6、及びそのボスであるMは、時代遅れの対象として白眼視される。

しかし、実際のところ、最後の最後は人間の身体と頭で勝負をせざるを得ない。Qがどんなに複雑で広範囲をカバーするシステムを構築したとしても、それを凌駕する天才的な頭脳を持つハッカーが現れれば、元も子もない。これが、のちにMI6を危機に陥れることになります。
しかも、今回対峙する敵は、世界を闇に陥れるような凶悪犯でも、人間社会を腐敗させるシンジケートでもなく、MI6を、ひいてはM個人に対する攻撃。かつてのMI6エージェントによる報復。計画に計画を練り、たとえ捕まっても、その逃げ口と周囲を混乱させるための準備は周到に用意する。やはり、テクノロジーは人間の手足の延長戦に過ぎず、人間の心と頭と身体が、問題を解決させるための武器なのだと改めて思わされます。
何せ、本作のクライマックスの舞台は、ジェームズ・ボンドの出身地であり、テクノロジーとは全くの無縁の『スカイフォール』。周囲に何があるのかを熟知し、それを行使しながらサバイバルさながらの戦いを繰り広げていかなければならないのですから。

本作を経て、ジェームズ・ボンドだけでなく、MI6も変わっていきます。これから成長していくのか、それとも廃退していくのか… 運命の流転は、まだまだ続きます。



2012/12/03

[Review] のぼうの城

天下統一を目論む豊臣秀吉による小田原攻めの一環として、その支城である忍城(埼玉県行田市)を攻め落とさんとする戦いを描いた物語。豊臣勢の総大将は、上地雄輔さんが演じる石田光成、対する忍城の城代は、野村萬斎さんが演じる成田長親。
石田軍約20000人。成田軍約500人。しかも、石田軍は圧倒的な武力・人材・資金を持っている。さらに総大将の石田三成は、生来からの生真面目な性格で、あまり油断するような様子は見られない。何としても自分の功績として討ち取ろうと、作戦を練る。そんな大軍に引けを取らない戦いをしたのだから、その城代はどんな人だろう… と思ったら、だ。

性根からののんびり屋。
政治の辣腕より農民とのおしゃべりと農作業。しかもその農作業ですら、あまりにもドンくさくて農民たちに煙たがれる。
けれど、その天真爛漫な性格は、どこか見る者聞く者に愛着を湧かせ、決して憎めない。領民のことをことを見ている、というより、単なるおしゃべり好き、世話焼き好き、というところでしょうか。それ故、領民は彼をほおっておけない。彼のあだ名は、でくのぼうから来て『のぼう様』。そんな戦い嫌い、日和見ののぼう様が、奮起して豊臣軍と戦うことに。いつもは飄々としていたのぼう様の奮起は、ほおっておけない領民を一揆団結させます。忍城内の武士としては約500人程度なのに、領民を含めると約2000人。それでも、互角に戦えるほどのものではない。彼の取った作戦とは…

原作では大男である成田長親。知人は、イメージとしてウド鈴木さんらしいのですが、僕個人としては、ウド鈴木ではこの作品の主役ははれないなぁ、と… 野村萬斎さんが演じるからこそ、成田長親が成り立ったと思っています。
何と言っても、成田長親の、いざという時の存在感の発揮と、存在感の無さの発揮。能の舞台の経験を幾度と踏んだ彼だからこそ出来る業かもしれません。城代としてその辣腕を振るっていくはずなのに、正木丹波守役を演じた佐藤浩市さん等にイニシアチブを取られている時の存在感の無さ。こういう緩急の効いた演技、好きですね~ ^^

戦いは、やはり水攻めで忍城を攻める石田軍の圧倒的な優勢。狭い忍城の中に、領民を避難させるも、兵糧攻めで苦労を強いられます。しかし、その水攻めを起こすための土手を造ったのは、領地の領民。成田長親としては、彼らの気持ちを掌握しています。一致団結させることで、土手を怖し、水攻めを終わらせます。
しかし、忍城を守り抜くも、主城である小田原城が先に攻め落とされ、豊臣軍の小田原攻めは終わりを告げます。他の支城はことごとく攻め落とされた中で、忍城だけが唯一残った。勝者であった豊臣軍でも、その功績を称えたそうです。そんなお城の物語が、今住んでいるところ近くにある。何だか、誇らしくも思います。 ^^



2012/11/26

[Travel Writing] 秋の西日本紀行 - 愛知編

西日本の紅葉を巡る旅の最終章は、愛知県足助町の紅葉の名所、香嵐渓へ。
そして生憎の雨! 今回の旅は、3日目の奈良の旅しか、しっかりとした青空を愛でていないなぁ… と思った次第です。 (ノд`)
錦秋の紅葉は、青空に良く映えますので、やっぱり晴れてほしいなぁ、と思うものの、香嵐『渓』という渓谷であることから、真っ青な空と降り注ぐ陽の光が、かえって仇になる可能性も否定できないわけでして。どんな光景が見られるのだろう… と、ちょっとドキドキしながら足を運んだわけです。

公共交通機関で行くには、東岡崎駅か豊田駅からのバス。たっぷり渓谷を堪能できること、帰りの時間等の関係から、東岡崎駅から行くことにしました。

秋の香嵐渓 - 一秋の香嵐渓 - 二

秋の香嵐渓 - 三秋の香嵐渓 - 四

香嵐渓に到着した時点でも、雨がやむ気配が無く(土砂降りではなくシトシト降りなのがまだ救いかもしれませんが…)。ですが、かえって幻想的な渓谷の景色を見ることが出来たと思います。
渓谷の遠くの山々から、濃い霧が断続的に発生。それが、幽玄な景色を生み出しているのが素晴らしかったですね。紅葉と言うと、青空と錦秋の赤の色合いのコントラストがやっぱり映えるものですが、こういう山霧に包まれた光景というのもいいかもしれません。

さらにそこから山道を登ったり、香積寺に参拝したりと、雨ならではのしっとりとした空気に包まれた香嵐渓を堪能しました。

香積寺 - 一香積寺 - 二

今回の3泊4日の旅も、振り返ると無茶苦茶な旅の仕方をしたなぁ… と自己反省。いくら自分が行きたいところを行きたいように、と思ってもねぇ。特に熊本から伊丹空港を経由して奈良に行くのは酷かった。熊本市内をじっくり観光し、夕方~夜にかけて移動して、談山神社もしくは香嵐渓に行く、というルートにすればよかったなぁ、と、旅の直前になって思ったものです。
が、それでも、その次の機会に、また行きたいというモチベーションがあるかどうかは分かりませんでしたので、奮起して談山神社・香嵐渓に旅立った次第です。結果としては両方とも大満足。でも多分、もう次はやらないでしょうね… (´∀`;)



香嵐渓 (Korankei Gorge)
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2012/11/25

[Travel Writing] 秋の西日本紀行 - 奈良編

今回の紅葉の旅… というか、これまでの旅で、一番その行動に後悔した瞬間だったりします。 (´∀`;)
いや、そういう旅の仕方はこれまでにも何度もやりましたから、今回の旅が別に格別というわけではないのですが、当時はその移動の仕方が、楽しくてしまったのでしょう。でも、あまりの無茶苦茶な移動の仕方をしていると、その旅の目的・見たこと聞いたことが薄れてしまってしまう。単にそこまで行ったという既成事実しか残らない。
旅を始める直前で、ふとそのことを感じたのですが、飛行機のチケットを取った以上、もはやそれは叶わなくなりましたね…

熊本に到着し、一泊してその早朝に、大阪経由で奈良に行くなんて… (ノ∀`)

興福寺 - 一興福寺 - 二

大阪、伊丹空港に到着後、そのまま奈良へ南下。
そのまま、奈良の目的地である談山神社に向かおうと思いましたが、伊丹空港・大阪駅、そしてその界隈の駅の複雑怪奇さは、そこに住んでいるからこそよく分かる(東京に長く住んでいる者が、地下鉄の乗換事情を知っているのと同じように)。全くと言っていいほど大阪を知らない者としては、予定の時間から大きくかけ離れ、談山神社どころか、奈良に着いたのは昼過ぎくらい… (´д`)
しかし、時間的に予定から外れてしまったことが、少し気持ちに余裕を生んだようで。すぐには談山神社には行かず、まずは興福寺へ。

興福寺は、3年ほど前にも行きましたが、今でも修復工事が行われている様子(現在は本堂が工事中)。京都の東本願寺と言い、工事をしていない時を見ること自体が珍しくなってきているような… まぁ、世界遺産にも指定されていますし、文化財の維持管理には仕方ないですが。なかなか全ての文化財や建物を一望できる時期を見つけるのが難しいですねぇ。

興福寺で、東金堂等を撮影し、御朱印を頂戴して、桜井市、談山神社へ。

談山神社 - 一談山神社 - 二

興福寺でもそうでしたが、紅葉真っ盛り、さらに日曜日であるにもかかわらず、思ったほど混雑していなかったように思います(それでもたくさんの観光客で賑わっていましたが)。京都・天龍寺や東福寺の混雑ぶりを経験したので、興福寺にしても談山神社にしても、それほど混雑している印象は受けませんでした。
まぁ、勿論行くまでの道路は大渋滞でしたけれど。 (´∀`;)

談山神社の紅葉、旅行パンフレットや写真集で見たのと同じような、境内が赤・橙・黄色に彩られた、まさに錦秋と言える光景! 折しも天気が非常に良かったので、青空と紅葉が、そして降り注ぐ陽の光が紅葉に反射し、とても美しく感じました。
公共交通で談山神社に行く場合は、桜井駅から出ています。通常は1時間に1本程度ですが、紅葉の時期など混雑する時は、増便されます。



興福寺 (Kofuku-ji Temple) 談山神社 (Tanzan Shrine)
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2012/11/24

[Travel Writing] 秋の西日本紀行 - 宮崎編

西日本の紅葉狩り紀行は2日目。行先は、日本の神々の生まれ故郷でもある高千穂に向かいました。
昨日の秋吉台から、新山口に出て新幹線で小倉を経由し、宮崎県延岡市へ。延岡市で一泊し、高速バスに乗って高千穂に向かいました。昨日の秋吉台からそれほど天気は良くなく、雨こそ降らなかったものの、その翌日の高千穂は、朝から雨が降らんばかりの曇天。高千穂に到着したら、ポツポツを雨が降ってきました… 晴れ男パワーは、さすがに発揮しきれずにいたようです。 (´д`)
まぁ、メインの行先は渓谷ですし、陽の光が差し込むと陰陽がはっきりしすぎて、写真に景観の美しさを収めきれないところがありますので、まぁよしと自分で納得させています。


高千穂に到着したら、レンタサイクルを借りて高千穂峡へ。
まずは高千穂神社へ行き、お参りをした後、高千穂峡へサイクリング。山間の地らしく、起伏が激しい。高千穂のバスターミナルから高千穂神社を経由して高千穂峡への道程は全て下り坂。高千穂神社まではそこまでは緩やかな坂ですが、さらに高千穂峡への道程は、渓谷らしくさらに急な下り坂。借りたのが電動自転車でしたから、比較的楽に上り下りすることが出来ましたが、普通の自転車ですとかなり苦労する羽目になりそうです。 (´∀`;)
ですが、実際に高千穂峡に到着した時に目に飛び込んできた秋色は見事でした。渓谷を歩くと、まだ少々緑のところが多いものの、雨で湿気を含んだ光景が、一層しっとりとした雰囲気を醸し出しています。

高千穂峡の公園真名井の滝

高千穂峡を散策すると、どんどん雨脚が強くなって、手が悴んできまして… (´∀`;)
茶屋で宮崎牛の牛丼を食べ、身体を温めた後、雨脚が弱まったところを見計らって自転車へ移動。移動先は、天岩戸神社へ。

天岩戸神社天安河原

天岩戸神社は、天照大御神が隠れた天岩戸をご神体として祀っている神社として有名な場所ですね。ご神体は渓谷を挟んで神社の向かい側にあるため、実際に入ることは出来ませんが、神社の本殿から眺めることが出来ます。本殿は勿論自由に入ることは出来ませんが、社務所に申請すれば、20分くらいのツアーで本殿に入ることが出来ます。本殿内に入ると、撮影は禁止です。 ^^
また、天岩戸神社から歩いて20分くらいのところに、天安河原の洞窟があります。天照大御神が天岩戸に隠れた時、出て来てもらうために、神々が集まって会議をした場所だそうです。

暗くなりかけたところで、熊本行きのバスに乗り、熊本へ。
高千穂バスターミナルの時刻表を見ると、熊本の他にも博多との行き来もあるようですね。高千穂に次に行く時の参考にしましょう。

夜の熊本城

熊本に到着した時は、既に19:30近く。今回の旅は、初めて三脚を持ち出しましたから、当然のようにライトアップされた熊本城の撮影へ。
この時期、熊本城は城郭の復元工事が行われていたため、一部ので幌がかかっていたのがちょっと残念でしたが… でも、素晴らしい熊本城を見ることが出来ました。



高千穂峡 (Takachiho Gorge) 天岩戸神社 (Amanoiwato Shrine)
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2012/11/23

[Travel Writing] 秋の西日本紀行 - 山口編

紅葉前線は、いよいよ太平洋側へ。10月初めから始まった旅も締めくくりです。2か月近くも紅葉を追いに旅に出るのもなかなか出来ない、というかしない経験ですけれど。 ^^;

西日本への紅葉狩り、その第1日目は山口県美祢市、秋吉台へ。
秋吉台の入り口となっている観光センターは、秋芳洞の入り口でもあります。入場料1,200円はちょっと高めですけれど… ^^;

秋芳洞 - 一秋芳洞 - 二

草紅葉の秋吉台 - 一草紅葉の秋吉台 - 二

秋芳洞は、秋吉台の地下100-200mにある鍾乳洞で、約1kmの観光路をもって公開されています。鍾乳洞としては日本最大規模なんだそうです。
どこの鍾乳洞とも同じく、非常に湿気が高く、足元が滑りやすい。ですが、洞窟内はそれほどの起伏も無く、道幅も比較的広く歩きやすいため、気軽な洞くつ探検としては最適の場所だと思います。また、洞窟内は常に16~17度に保たれているため、夏は涼しく、冬は比較的暖かい。当時、洞窟内を塒としていた人たちにとっては、格好の住処となったのかもしれません。

洞窟から地上に上がると、そこは360度見渡す限りの草紅葉。紅葉と言えば、中高木の樹林の葉が黄色や赤に染まる様を見て、自然の造形、自然の移り変わりを楽しむのが主ですがこうして、自分の腰の高さくらいの草が赤く染まる様も、なかなかの絶景です。さらに、秋吉台のカルスト台地ならではの、隆起した石灰石の群れが奇妙な地形を織りなしています。

この旅で僕が歩いたのは、妙見原と言う、秋芳洞黒谷口周辺。歩いて2~3kmほどの広さです。実際に秋吉台は、さらに広く、僕が歩いたのはほんの南側の一辺のみ。それだけでも、十分に楽しめましたが。 ^^
カルスト台地が織りなす奇妙な地形は、ほんの少し歩いただけでは、味わい尽くしきれないでしょう。それこそ、様々な季節、様々な様子を垣間見れる時に行きたいなぁ、と思いました。

鍾乳洞と言い、カルスト台地と言い、遥か彼方の昔から連綿と続く地球の鼓動を感じつつ、季節の移ろいを目の当たりにする… 二つとしてない素敵な場所だと思います。
また、秋芳洞は、山口県の真ん中にあるため、山口市・下関市・萩市からのアクセスも便利です。



秋吉台 (Akiyoshidai)
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2012/11/03

[Travel Writing] 錦秋に包まれた関東の水瓶

紅葉前線は、またまだ北日本、もしくは山間部の中腹のところ。徐々に関東地方にもその色付きを広め始めててきているようにも思います。それでも、北関東のさらに北側が主だったところではありますが。

そんな北関東に広がり始めた紅葉狩りをするために訪れたのは、栃木県日光市。通常、紅葉の季節の日光の社寺~中禅寺湖付近は、観光客でごった返します。いろは坂の混雑はもはや風物詩。 ^^;
ということで、さらに鬼怒川温泉の北側の方へ足を伸ばしてみました。この地は、奥鬼怒川の河川の氾濫や治水を目的とするためのダムが多く建造されています。切り立った渓谷の中に鎮座まします白亜の建造物たち。それを取り囲むような錦秋の森。普通に都会の中で生活していく上では見ることが出来ない、非日常の景色。でもそれが、私たちの水の暮らしを支えている。
普段はその存在の有難さををあまり感じていないのに、こうして見てみると、自然と、そして人間が造りだすものの偉大さの双方を感じることが出来ます。

川俣ダム川治ダム

五十里ダム湯西川ダム

訪ねたのは、川俣ダム~川治ダム~五十里ダム~湯西川ダムの4つ。特に湯西川ダムは、2012年10月に落成したばかりの、とても新しいダム。出来立ての真っ白なコンクリートが、深みのある錦秋の中に佇む様は、どこか不自然な感じがするも、堂々とした様相で見る者を出迎えてくれます。
これらのダムへ行くための公共交通機関もありますが、本数があまりにも少ないため、自家用車で巡るのがベター。特に川俣ダムは、川治湯元駅よりかなり距離がありますため、その方がいいかもしれません。川治ダム・五十里ダム・湯西川ダムは、比較的駅から近いため、ハイキング感覚で歩きで行くのもいいと思います。また、川治ダムは、普段は滅多に入ることが出来ない、ダムの中を歩く『キャットウォーク』、そして、水陸両用バスで人造湖の中を周遊するコースもあります。ご家族連れで、十分に楽しめるコースだと思います。

この日は比較的雲が多く、到着した時は晴れ間が見えていたものの、山間の地域であるため肌を吹き抜ける風はとても寒かった。また、時間が経つにつれて、徐々に雲が厚くなり、夕方前にはパラパラと小雨が… そうこうしていくうちに、身体はどんどん冷えて行ってしまいました。 (((´д`)))
というわけで、道の駅湯西川で、日帰りの温泉があったため、そこで一っ風呂浴びることに。

…………。

温泉に浸かることが、こっんなに幸せだと思ったのは、生まれて初めてかもしれない。
あ゛~… しゃ~わせ… (´∀`)
『温泉に浸かる為の旅』というだけの目的は、そんなに感銘を受けなかったのに。きっと、疲れて、そして身体が冷え切った時に浸かる時が、至福の一時なのでは、と思うのです。年末近くに、一年の身体の疲れが溜めこまれた時にこそ、温泉の力というのが非常に大事になってくるのかもしれません。


鬼怒川ダム統合管理事務所


道の駅 湯西川 (Road Station "Yunishigawa")
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2012/10/28

[Travel Writing] 五箇山の錦秋

昨日までは青々とした天気だったのに、この日は生憎の空模様… 富山県 砺波市と南砺市の周遊の旅を楽しみたかったのですが、まぁ、これはこれでいいかな、と自分に言い聞かせています。 ^^;
砺波市と南砺市の旅では、Google+でお世話になっている人にコンタクトを取り、「ご一緒しませんか?」と声を掛けたところ、快く引き受けてくださいまして、実現しました。ほとんどの分野で鉄道等の交通機関を使った旅が多く、城端線も城端駅で終了。それより南の五箇山へ向かうには、本数の少ないバス等を利用しなければなりません。今回ご一緒頂いた方は、有難くもお休みを取っていただいたようで、観光スポットが豊富で、様々な様相を呈する魅力あふれる街・南砺を、思いっきり楽しむことが出来ました。 ^^

小牧ダム庄川にある廃墟の橋

砺波市から南へ向かい、南砺市の境界線のところにある小牧ダムへ。ここは2001年、土木学会選奨 土木遺産に認定されたダムでもあります。
また、小牧ダムからさらに南へ向かったところ、庄川と利賀川との合流地点のところに、朽ち果てた橋脚の残骸が! もうこの時点でテンションは上がってしまいまして。 ^^;
単純な家屋や校舎・庁舎の廃墟は、好きなんですけれどそこまで琴線に触れたことはないものの、こうして大自然の中に、まるで眠るように、そして、もはや人工物とも自然物とも分からないように佇む遺構や廃墟は、僕の中の冒険心を思う存分にくすぐってくれます。あまり時間も無いのに、「あー、ここ見たい! 見たい!」って、年甲斐もなくはしゃいでしまいましたので… ^^;

さらに下って、いよいよ五箇山の合掌造りの集落へ。『こきりこの里』と、『相倉合掌造り集落』へ行きました。こちらも、世界遺産として指定されています。

こきりこの里 - 一こきりこの里 - 二

相倉合掌造り集落 - 一相倉合掌造り集落 - 二

五箇山の合掌造りは予てから知っていたものの、やはり『合掌造』という言葉を聞いてまず最初に思い浮かべると言ったら、岐阜県の白川郷。景観・面積・合掌造りの戸数で言えば、こちらの方が多いですし、有名かもしれません。交通の便や観光地としての整備も行われていると見受けられます。
が、人によっては、あまりにも整備され過ぎているために、集落ならではの侘しさや静けさといったものが失われているのではないか、それならば、まだ観光客の数が少ない、五箇山へ行った方がいいのではないか… とおっしゃる方もいます。人それぞれの好みはありますが、いわゆる1日、もしくは宿泊しながら、の~んびりと合掌造りを楽しみたい、というのであれば白川郷を、規模は小さいながらも、じっくりと楽しみたい、フォトジェニックとしての合掌造りを求めたい、というのであれば、五箇山を、という感じでしょうか。
折しも、合掌造りの地域は間もなく紅葉が真っ盛り。訪れた時も、6~7割は紅葉が進んでいた、という感じでしょうか。晴れていたら、一層よかったんですけれどね~… まぁ、天候だけは人間の力ではどうにもなりませんし。

さらに南砺では、井波、そして城端地域で、これまた僕が大好きな場所が!
城端地域では、規模としてはほんの数件程度ですが、路地裏に、かつての面影をしのばせる蔵造の町並みが、そして井波では、彫刻の街として栄えた通りがありました。

南砺市の土蔵群木彫りの里の街並み - 一

瑞泉寺木彫りの里の街並み - 二

いずれも、昔ながらの町並みや家屋を大事にしているところで、こういうところを歩くのが本当に好きで、ガイドブックを見るだけでは、そして単身で行くだけでは、決して辿り着けない場所だと思いました。もう、今回ご同行いただいた方には、紹介していただき、もう感謝も絶えません。
特に、彫刻の町並みが素敵ですね。家屋の看板、通りを飾っているオブジェや人形、社寺の柱、果てはバス停のデザインに至るまで、きめ細かな彫刻の数々… 見飽きることはありませんでした。特に、瑞泉寺の山門や伽藍に刻み込まれた彫刻は、着色すれば、日光東照宮に引けを取らないんじゃないか、というくらいの造形だったと思います。必見の価値ありだと思います。
そう言えば、同行の方に窺ったのですが、この地方では、男のお子さんが生まれると、木彫りの天神様を送る風習があるそうで。木彫りを生業としている職人さんも、様々な表情の天神様を彫っては、その家の子が元気に聡明に育つように願うんだそうです。特に北陸界隈で見られる風習のようです。男の子にとって、素敵な思い出にもなるでしょうね。 ^^



小牧ダム (Komaki Dam) 相倉合掌造集落 (Gokayama - Ainokura village)
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2012/10/27

[Travel Writing] 上越を彩る秋の旅

紅葉のラインは少しずつ南へ、そして標高も下へ…
10月の始めに、乗鞍岳、そして千畳敷カールへ行きました。そこだけでもあまりの紅葉の見事さに、ちょっとお腹いっぱいになってしまいましたが… ^^; それでも、やはりこれまで見てみたいなぁ、と思った場所を、ある意味片っ端から見たい、という衝動が強く、意を決して行ってみました。
行先は新潟県の上越地方、妙高高原と直江津です。

秋色の妙高高原と妙高山 - 一秋色の妙高高原と妙高山 - 二

妙高高原の紅葉は、10月下旬から11月上旬にかけてが見頃。標高もそれほど高くなく、交通の便も良い。いもり池まで、妙高高原駅からバスが出ていますが、距離もさほど遠くはありませんので、ハイキング感覚で周遊するのもいいかもしれません。
まだ少し緑が青色をしているところも散見されますが、総じて秋の装い。天気も良く、空の青さも相成って、最高の秋晴れの下での紅葉狩りとなりました。

白樺の森周遊 - 一白樺の森周遊 - 二

いもり池から少し歩いたところに、白樺の遊歩道があります。鬱蒼と生い茂った林の中を、約500mくらい歩く程度の小ぢんまりとした遊歩道。むしろ、それ以外のものが無いのがいいですね。紅葉の雑木林の中を歩く。しかもあまり注目されているところでもないため、人も全くと言っていいほどいません。こういうところを歩くのも、いいかもしれません。


妙高高原の次は、直江津へ。
レンタサイクルを借りて、直江津市内を周遊。まずは、少し遠い春日山城へ。
春日山城は、言わずと知れた上杉謙信の居城。にして、難攻不落の山城です。春日山城の麓までは、緩やかな坂道。駐輪場に自転車を止め、春日山神社に上るのですが、その階段が一番きつかった… これ以上にないっていうくらい急峻でしたし。お年寄りとかお子さんとか、春日山神社の階段は大変ですわ… (´д`)

春日山神社本丸から臨む上越市

上杉謙信像林泉寺

春日山城の本丸は、春日山神社の境内からさらに山道を歩いて20~30分。急峻な山道ではなく、山道も整備されています。が、一部では柵も無いところもあり、歩行の際には注意が必要です。また、山城はまさに自然の要塞。蜂もいれば蛇も出ます。十分にお気をつけください。
ただ、春日山の山頂でもある本丸に登り切った後の景色は格別! 上杉謙信になったかのような気分です。なお、本丸から直江津港の方へ目をやると、何やら港湾の工場が… 今回は時間の関係上、工場撮影には参りませんでしたが、改めての機会に行ってみようと思います。

本願寺国府別院五智国分寺

直江津は、上杉謙信が本拠を構える場所として有名ですが、実は親鸞聖人が流れ着いた場所としても有名であることをご存知ですか?
直江津の街を自転車で周遊すると、至る所で、親鸞ゆかりの社寺や、親鸞聖人が直江津に流れ着いたスポット等を見ることが出来ます。ここへ流れ着き、京の都に帰ることを望みに、浄土真宗の不況を行っていた親鸞聖人ですが、ついぞ京の地に足を付けることは叶わなかったそうです… それでも、その地に根付いた浄土真宗の教えは、今もなおそこかしこに受け継がれ、今日に至っている。彼の教えは、人々の救いとして横へ横へと広がっている。人生、全てが不幸な結末しかないのか、といったら、あながちそうでは無いですね。彼の生き様・記憶、後の世にも、連綿と受け継いでいくことだと思います。



妙高高原 (Myoko Plateau) 春日山城址 (Kasugayama Castle Site)
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2012/10/19

[Travel Writing] ススキの黄金の野

きっかけは、電車内の広告を見たこと。見渡す限りススキが広がり、太陽の光に照り輝く様は、まるで黄金の野。10月が見頃の細野高原のススキ野。一度でも見てみたいと思い、決行を決めました。勿論、『風の谷のナウシカ』の、「その者青き衣を纏いて金色の野に立つべし」の文句が頭に過ったのは言うまでもないですが。 ^^;

出発は、伊豆稲取駅から。そこからバスが出ています。伊豆アニマルキングダムを経て、細野高原へ。バスはやや小振りで席数もそこまで多くないため、観光案内所で事前の申請が必要になりますが、要予約と言うわけではありません。
伊豆アニマルキングダムまでの道のりは、アップダウンこそあるものの、車道として整備されており通りやすいところではあります。が、そこから先は、一気に道幅が狭くなり、一車線で車が通るのがやっと。土のデコボコした山道を通ります。他の車両とすれ違うものなら、どちらかが一旦下がって譲り合わなければなりません。が、その山道も、片方が(場所によっては)崖。運転技術が熟達した人でも怯むのではなかろうかと。 ^^;
伊豆稲取駅から細野高原の道程は、車で30分程度ですので、多少時間がかかっても、歩きで行く、というのもいいかもしれません。一方で、細野高原へのバスは、ススキのイベントが行われている10月のみ。そして、9:00から15:00までです。ススキの野が美しくなるのは、昼間の太陽の光もそうですが、夕方の黄昏の光を浴びた時もとても美しいと思います(ポスターを見る限りですが)。ただ、その時間帯はバスはやっておらず、細野高原のイベント会場も閉まっているため、タクシーか自家用車、もしくは歩きで。会場へは、街灯の無い森の中を通りますので
、その時間帯の歩きはあまりお勧めできません。

ススキの黄金の野 - 一ススキの黄金の野 - 二

天気がいい時を見計らって行ったからか、到着した途端、目の前に広がるのは、黄金色に輝くススキの野が、360度の視界いっぱいに広がって、到着してしばらくそのまま見惚れていました… ^^
イベント会場で自転車(マウンテンバイク)を借り、三筋山の方まで行こうとしたところ、会場の人に驚かれまして… 「えっ、あんなところまで自転車で行くの!?」と。結構距離があるように見受けられましたので、時間もあるし、行ってみようかな、と… ただ、手前の道なりの傾斜が比較的緩やかでしたので、自転車で行けるだろう、とたかをくくっていたら、緩やかなのは出発地点の手前だけ。進むにつれて、その傾斜の急斜面たるや! 途中で自転車をこぐのを止め、手押しで山頂に目指した始末です。 (´д`)

但し、頂上に登ってからの景色は絶景! 伊豆の海が一望できます。秋の爽やかで少々冷たい風が、汗だくの身体を浚うように吹き抜けていき、とても気持ち良かったです。

三筋山からの風景ススキの黄金の野 - 三

黄金のススキを愛でながら下り、イベント会場で昼食を摂ることに。その時の屋台主のご店主が、50代前半にも関わらず日焼けし屈強で、山頂まで自転車で上ったことの苦労を語ったところ、「自分は海岸線からほぼノンストップで山頂まで上った」と…
僕の方が若いのに、何だか悔しい… (´・ω・`)
確かにご店主は、毎日のように自転車に乗っているから、らしいですが。これを聞いた機に、もちょっと自分を鍛え上げようと思った次第です。出来るかな… ^^;



細野高原 (Hosono Plateau)
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