2013/01/14

[Travel Writing] 雪の街Photowalk - 宮城編

雪の街のPhotowalk。後編は、宮城県栗原市~仙台市。

東北と言っても、積雪の多い地域は日本海側に集中しており、実際のところ、太平洋側での雪景色と言うのは、思ったほど多くは無い、というのが実感したところです。実は、だいぶ前に松島の雪景色を見たいなぁ、と思ったのですが、高台に登れば、それなりの銀世界を楽しむことは出来るものの、海岸沿いは全くと言っていいほど雪は積もっておらず… なかなか行きたい時と、行ける時のタイミングを合わせるのも難しく、特に冬場の風景写真を撮るには、いつもヤキモキすることがあります。
だから栗原市を選んだのか… というと、まぁ全くの嘘と言うわけではありませんが。 ^^;

訪れた場所は、栗原市の市街地ではなく、くりこま高原駅から3~4km離れたところにある、冬の渡り鳥の飛来地でもある『伊豆沼』です。本当は、内沼の方にも足を伸ばしたかったのですが、かなり迂回しなければならなかったので、今回は伊豆沼のみ。そして、朝焼けに照らされた沼と白鳥の飛翔や舞を写真に収められれば、と思ったのですが、早朝から生憎の曇天。さらに時間が経つにつれて、ハラハラと雪が舞い、ぐっと冷え込んできたのが分かります。
一応の防寒具は用意してあるものの、白鳥や鴨を見続け、且つ自分が納得するに至るまでの1枚を追い求めようとすると、ついつい時間が経ってしまった、気が付いたら2時間以上… まだ暗い早朝からの活動でしたから、芯まで冷え切ってしまったので、一旦ホテルに戻り、ひとっ風呂浴びたのは言うまでもありません。

真冬の伊豆沼 - 一真冬の伊豆沼 - 二

白鳥 - 一白鳥 - 二

野鳥の撮影は本当に難しいですね。飛翔の瞬間については、納得いくものは1枚もありませんでした。野鳥撮影のための準備も練習もせず、ぶっつけ本番ですから致し方ないものの… やはり撮りたい瞬間を捉えられなかったのは、少し悔やまれます。


ハラハラと舞い落ちる雪は、時間と共に振り方が強くなり、ホテルをチェックアウトした10時くらいには、地面が真っ白になるほどに。
ん? もしかして、こんなに雪が降っているということは、仙台でも結構積雪しているんじゃなかろうか… と思い、当初は伊豆沼での撮影が終わったら、そのまま東京に帰ろうと考えておりましたが、急遽次の目的地を仙台に変更。予想通り、仙台駅を出たら、今まで見たことがないくらいの雪景色でした… って、結構強いよ雪の降り方! 寒さは予想を遥かに上回っていました。 (´∀`;)

今回、酒田市にしても青森市にしても、効率よく回りたいところを回るために、レンタサイクルでの移動を検討していたのですが、今回の旅は、全てにおいて自転車や車による移動は行わず、全て徒歩か交通機関を用いました。最終章でもある仙台も、交通機関で正解。時間が経つにつれて雪の降り方はどんどん強まり、道が薄っすらと白くなるどころか、あれよあれよと言う間にどんどん雪が積もっていくのですから。
そして、仙台市内巡りは、仙台の観光スポットを巡る『るーぷる仙台』を利用しました。行先は、瑞鳳殿~仙台城址~大崎八幡宮へ。




これまで、何度か仙台市には仕事だったりプライベートだったり足を運んでいるのですが、伊達家の廟でもある瑞鳳殿(経ケ峯歴史公園)には、実は初めてだったりします。折角の雪景色、もうちょっと人がいてもいいような気もするんですけどね~… と思うものの、人が少ないなら少ないでそれでいいや、この静謐な空気を独り占めできるし☆ ということで、雪の瑞鳳殿をゆっくりと散策。絢爛豪華な廟の装飾も、この日ばかりは、雪の白色が目立っておりました。
仙台城址の伊達正宗像も、この日ばかりは雪化粧。観光案内ボランティアの片倉小十郎さん曰く、伊達正宗公に雪が積もるのは、1年に1回あるかないか、だそうです。いい時にきたなぁ、と思いつつも、雪の降り方も横殴りになり、レンズに雪が付着しないか四苦八苦しながらの撮影でした。 (´∀`;)

最後に訪れたのは、大崎八幡宮。丁度、どんと祭りの裸参りが行われていて、裸参りの行列が、神社だけでなく仙台市街を練り歩いていました。この時期、寒くとも風もなく太陽が出ていれば、それなりに暖かいと感じるのでしょうが、風雪が強いこの中での裸参りは、本当に芯から冷えることでしょう… きっと、参加者の何割かは、翌日風邪で寝込むはず。こんな寒い中、お疲れ様です…
本当は、どんと祭りのクライマックスでもある、松焚祭は、時間の都合上見ることが出来ませんでした。ですが、こんな祭りを教えてもらえなければ、単に素通りするだけにとどまっていたかと思います。教えていただいただけでも、感謝です。 ^^


雪化粧の街中を歩きながらのPhotowalk、楽しかった反面、色々と反省点や勉強すべき点が多くありました。

  1. 屋外のみでの撮影ならまだしも、屋内とを行き来しながら撮影すると、結露が必ずと言っていいほど付く。結露対策は必須
  2. 吹雪く中での撮影は、フードを付けていてもレンズに雪が付着するのは避けられない。雪の吹き付ける方向やタイミング、強弱等も念頭に入れ、どういった構図で何をとるのかを瞬時に判断する技術が必要
  3. 景色のほとんどが白色になるため、露光やWBの調整が難しい。絞りも、その光景に合わせ、適度な調整が必要になる
  4. 超望遠が可能とは言え、ズームレンズでの野鳥撮影はあまり向かない。もし、納得のいく一枚を求めるのであれば、専用の単焦点望遠レンズが必要
  5. その他、雪の中での移動は、通常の移動よりも遥かに遅くなることを念頭に入れた行動計画を心がける
取り敢えず、ざっと思いつくままのものを挙げてみました。当然のことかもしれませんが… ^^;
これからも、雪の中を撮影する上で、気づいたところがあれば、色々と情報として発信し、また、これからも勉強していきたいと思っています。



伊豆沼 (Izu-numa) 瑞鳳殿 (Zuiho-den)
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2013/01/13

[Travel Writing] 雪の街Photowalk - 青森編

雪の街のPhotowalk。中編は、青森県青森市。

先日の日本海側を中心とした大雪の影響で、結局秋田以北は全線でストップ。急遽秋田で宿を探して一泊し、朝一で青森へ移動!
…と思ったら、除雪作業が難航し、青森行きの電車はことごとく運航中止状態に追い込まれてしまいます。 (´д`) 折角早起きしたのに、朝っぱらから秋田で足止めを食らわされるなんて。 orz

しかし、そんな中でも健在なのが新幹線。青森行きのみならず、他の在来線もストップや遅れを余儀なくされている中で、時刻通りの運航をしている唯一の路線でした。しかし、青森へ行くには一旦盛岡に出るという遠回り経路。しかしここでずっと足止めを食らわされるわけにもいかず、意を決して、新幹線で青森へ行くことに決めたのです。
思えば、もう一本前の新幹線に乗っていれば、青森市内周遊も、もちょっと時間的に余裕が取れただろうなぁ、と少し反省しましたが、まぁ過ぎてしまったものは仕方がない。ですが、大雪の時はどんなに在来線が遅れていようとも、新幹線は(比較的)通常通り動いている! これは、いい一つの経験になったと思います。


青森県立美術館あおもり犬

三内丸山遺跡 - 一三内丸山遺跡 - 二

盛岡経由で新青森へ。東北新幹線、初の八戸以北の利用です。これで東北新幹線は、2013年現在竣工されている区間は全て踏襲。残るは山形新幹線の山形~新庄のみとなりました。
新青森に到着後、まずは青森県立美術館と三内丸山遺跡へ。丁度、美術館へ向かう周遊バスがありましたので、それに乗って行きました。
雪はところによっては1m以上積もっている… というか、除雪で溜まった雪が3m以上のところもあるんですけど! それはいいとして。天候は雲が若干多いものの概ね晴れ。酒田市とは違う雪の街のPhotowalkが楽しめそうです。

青森県立美術館は、白を基調とした、丸みのないスクエアな、美術館と言うよりシェルターの印象を受ける建物。煌びやかさはどこにもなく、そして中も外観と同じように、コンクリートが打ち据えられ、装飾も最低限。かといって、倉庫のような印象も無く、ドラゴンボールに出てきそうな『精神と時の部屋』のような印象。その代り、空間の使い方が独特で、一軒家のリビングのような小部屋もあれば、三階ぶち抜き、飾られているアートも視界いっぱい… どころの話ではないくらいの大きい部屋まで。独特の空間づくりが印象的な美術館です。
青森県立美術館と言えば、奈良美智氏作の『あおもり犬』。白亜の、ちょい可愛い系の大きな犬の象。実際に近くまで行って、記念に写真撮影することが出来るのですが、屋外展示であり、積雪のため室内からの観賞にとどまりました。う~ん、残念!
その代り、普段は見ることが出来ない、雪のベレー帽をかぶった『あおもり犬』を見られた、というのもなかなか無い経験だったと思います。

そうこうしているうちに、青森市内を周遊する時間が無くなり、三内丸山遺跡にはほんの僅かな時間しか滞在できなくなり… orz 前日の雪の影響で交通に乱れが生じた、と責めることが出来ればいいのですが、仕方ないこと。自分の時間配分の出来なさを恨めしく思います。 (´∀`;)
とは言え、屋外の展示や発掘された遺跡群は、分厚い雪の影響で地面の部分が全く見えず… この時期に、屋外展示の遺跡見学はあまり向かないようです。雪国だけに。資料館の中をじっくり見て回ればよかったかなぁ、と今更ながら反省しております。今回の青森紀行は、当初は浅虫温泉にまで足を伸ばそうかなと思っていましたが、都合により断念。次の青森へ旅する時の参考にしようと思います。だいぶ絞り込めましたし。 ^^


ねぶた - 一ねぶた - 二

青森港メモリアルシップ八甲田丸

青森県立美術館、三内丸山遺跡を後にし、青森市内をPhotowalk。
流石、北東北の中核を担う港町なだけに、商店街を中心に活気で賑わっています。だいぶ雪は積もったものの、概ね空は晴れているため、冷たいながらも爽やかな空気の下での散歩が出来そうです。
青森市内は、『ねぶたの家 ワ・ラッセ』と青森港を中心に周囲をテクテク。青森港から見る海は、まさに津軽海峡冬景色。青空で下からあまり寂しさを感じる情景ではありませんでしたが。 ^^;

そして『ねぶたの家 ワ・ラッセ』で、初の実物のねぶたを間近で見ることに! 暗い施設の中を、赤く煌々と輝かせながら、厳つい顔をしたねぶたの数々が陳列されています。圧巻でしたね~。こんなのを見ると、是が非にでも、ねぶた祭りで盛大に動いているところを目の当たりにしたい、という衝動に駆られます。

青森ベイブリッジ - 一青森ベイブリッジ - 二

青森周遊の後は、宮城のくりこま高原へ移動することになるのですが、黄昏の青森港、是非とも目に焼き付けたいと、何とかギリギリまで粘りました。ライトアップされた青森ベイブリッジです。
時間が経過するにつれて、青だったり赤だったり緑だったりと、様々なライトが青森の夜空に輝きます。そして今回、新たに購入した一眼レフで、初めて絞りやシャッタースピードを調整しながらの撮影。うまくいっていますでしょうか…
もうちょっと近づいて、色々なアングルで撮影したかったのですが、移動の都合もあり、今回はここまで。青森の旅、まだまだ続けていきたい、いい思い出になりました。



青森県立美術館 (Aomori Museum of Art) ねぶたの家『ワ・ラッセ』 (Nebuta Exhibition Hall)
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2013/01/12

[Travel Writing] 雪の街Photowalk - 山形編

雪の街のPhotowalk。前編は、山形県酒田市。

予てから、日本を巡りその四季折々の景色を自分の脳裏に、そして身体に刻み付けたい、という希望の下、日本全国を回っておりますが、如何せん、冬の景色が多くないなぁ、と思い、雪の街歩きを計画した次第です。自分が思うような雪景色になっていない時が多いですがね… (´∀`;)
また、単純な考えで、冬ならではの景色を撮るためには、どうしても雪が欠かせない、という考えもあるんです。そういう縛りを持たせた写真撮りは、それはそれで挑戦のし甲斐がありますが、凝り固まった考えがたまに傷なところがあります。

とは言え、だから雪景色になりやすい東北を選んだのか、と言ったらそうではありません。やはり東北ならではの冬の景色があるわけですから、それをこの目で見てみたいと思ったのは事実です。今冬も、日本海側は雪に見舞われたそうですから、素敵な雪景色が見られることと思います。当地に住んでいらっしゃる方からすれば難儀かもしれませんが… (´∀`;)


日和山公園光丘神社

新井田川を進む屋形船清亀園

夜行バスで、福島から山形に入る時から、ちらほら雪が舞い、山沿いでは既に20cm以上の積雪に。そこから、山形市~鶴岡市に入ったところでも変わらずの積雪で、酒田市でもいい雪景色が臨めそうだなぁと思ったところ、予想通りの積雪でした。車通りはそこそこあるものの、人通りは多くなく、また雪によって街の音が掻き消されているため、とても閑散した雰囲気を醸し出しています。
車通りも多いのは幹線道路。一旦脇道に入ると、車は勿論人も極端に少なくなり、降りしきる雪と、それに覆われる静かな街並みだけ。動くものは、まさに歩いている自分だけ、という状態。街そのものを独占したかのような錯覚に陥ります。

光丘文庫 - 一光丘文庫 - 二

酒田市の街を歩くと、ところどころで『本間』の文字を目にします。
酒田市は、酒田港が存在する通り、港町。最上川の河口には、海洋水産や海洋センターがあり、海の幸がぎっしり詰まる市場も盛んです。加えて、日本有数の米どころでもあるため、街を離れると田園風景が一面に広がるのですが、そこの地主だったのが『本間家』なのだそうです。「本間様には及びもせぬが、せめてなりたやお殿様」という歌も詠まれるほどの栄華を誇り、本間家ゆかりの財物が、酒田市に保管されています。特に本間美術館がその一つですね。
光丘文庫も、修学のために文庫を兼ねた寺院を建てようとしたところ、時の江戸幕府はそれを許そうとしなかった。時を経て、大正時代に、光丘文庫が産声を上げ、酒田市の図書の礎を築いたそうです。
また、街中には本間家の旧邸宅が文化財として保管され、中を見学することが出来ます。毎年1月は館内展示の整備にあたるため、約1ヶ月ほど閉館なんだそうです。ちょうどその時期にあたってしまったので、中を見られず仕舞いでしたが。 (´∀`;)

映画『おくりびと』ロケ地 - 一映画『おくりびと』ロケ地 - 二

映画『おくりびと』ロケ地 - 三映画『おくりびと』ロケ地 - 四

そして、酒田市は何と言っても忘れてはならないのは、アカデミー賞外国語部門で賞を勝ち取った、映画『おくりびと』のロケ地。その中心的建物でもある『旧割烹小幡』は、割烹料理店としての役目は既に終えているものの、映画のロケ地である『NKエージェント』、いわば観光名地として、新たな一歩を歩み始めています。
中に入ってみると、映画で使われたセットがそのまま展示されており、一部は実際に触れることも出来るため、映画の世界に入り込んだかのようになります。


さて。酒田市をあとにし、青森へそのまま移動… のはずが、大雪の影響で羽越本線が全線でストップ。青森で宿を取っている関係上、何とか青森まで進めないか、かなり焦っておりました。
一応、秋田までのバスが出ており、とりあえずは秋田まで。青森行の最終電車が既に出発している時刻にも関わらず、「それに乗りたい客がいる」旨を伝えてあるため、きっと乗れるだろう… と一縷の望みに託していたのですが、秋田に着くや否や、そもそもその電車すらもストップの状態だったという… orz

結局、青森のホテルはキャンセルし、急遽秋田で宿を取ることにしました。折しも秋田駅では、これ以上進めない乗客やビジネス客でごった返しの状態。よもや宿すら取れないのでは… と心配しましたが、それは何とか取れたようです。取り敢えず、一安心。 (´∀`)



本間家旧本邸 (Homma Old Residence) NKエージェントビル(旧割烹小幡) (NK Agent Building)
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