2013/02/18

[Travel Writing] 真冬の北の大地 - 後編②

本来であれば、函館山に登って函館の景色を遠望しようと思ったのですが、雪霞が濃いのでそれは断念。路面電車に乗り、五稜郭へ向かうことにしました。

半月堡から臨むニの橋と藤棚箱館奉行所

白銀の五稜郭函館市遠望

昼過ぎになって雪の降り方が抑え気味になったかな? と思うのも束の間、雪の降り方は強くなったり弱くなったりが続き、午前中は細雪だったのが次第に粒が大きくなって…
こ、これじゃ五稜郭からの眺めが全然見えないじゃないか… (´;ω;`) ブワッ
そこらへんは、色々とタイミングを見計らいながら、雪の五稜郭を散策しました。

江戸時代末期に、蝦夷地の箱館府に建造された、稜堡式の城郭。日米和親条約による箱館開港に伴い、防衛力の強化と役所の移転問題を解決するため、徳川家定の命により築造された城ですね。しかしその後、幕末の動乱の渦中の舞台となり、多くの偉人を初めとする命が失われました。建造されて幾ばくも年月が経っていないにも関わらず、血塗られた歴史を刻みつつも、その重みを今も随所随所に伝えている。その意味が一体何なのか、なぜそんなことが起こったのか。それを知り、僕たちが何をしていくべきなのか。それを問われているような気がします。

最近になって箱館奉行所が復元されたので、その中を見学しようと思ったら、資料整理のため休館… (ノд`)
何だか、行きそびれたところばっかりだなぁ。これって、また次においで、という解釈として捉えていいんじゃろうか。 (´∀`)



五稜郭 (Goryokaku)
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[Travel Writing] 真冬の北の大地 - 後編①

北海道旅の最後を締めくくるのは、函館です。そして、朝から雪、雪、雪続き… (´∀`;)
雪景色の北海道を堪能するという意味では、雪は欠かせない要素ですので、それは大歓迎なのですが、こうもドカドカ降ってくれると、さすがにもうお腹いっぱい… という感じでして。
僕の旅って、自分が見たい、知りたいことを、自分の欲求そのままに、もしくはそれ以上に満たすような行程を組みます。腹八分、というのを知らんのですな。いや、知っててもそれで満足しない、という方が正しいのか。とりわけ、桜・紅葉・雪のシーズンは、体力と財布の中身と時間の許す限り、色々なものを吸収したい! という意識が強くなるあまり、毎回毎回、旅から帰ってくるとヘトヘトになるのです。まぁ、それがいい、ということもありますが… (´∀`;)

タラバガニ紅鮭

そして函館Photowalkでは、まず出鼻から挫かれた…
挫かれた、というより、自分の意志薄弱なところを突かれた、という感じでして。函館の朝市をブラリ。しかし、店主たちの客寄せの口上は人並み外れたものでして(じゃなくて、自分が断れない意志薄弱さが原因)、本来買うはずの無い、毛ガニ、を… (´д`)
毛ガニは食べたかったんですよ。でもここで、ね。独り暮らしですし、忙しい時期でしたから、毛ガニを料理するだなんてまず考えられないですし、実家もほとんど両親のみですから、毛ガニを料理しようなんてあまり思わないでしょうし。でも、その、まぁ、何だ、勢いに乗せられて、つい…
予想外の出費に、少し財布の中身を心配してしまいました。 (´д`)


気を取り直しまして。 (´∀`;)
朝市の後は、函館市青函連絡船記念館摩周丸、金森赤レンガ倉庫を経て、函館の教会群や旧領事館のエリアへ。

無線通信質 - 函館市青函連絡船記念館摩周丸金森赤レンガ倉庫

ガラス細工の天使八幡坂通から臨む函館港

いずれの施設も、月曜日と言うことだけあり、ほぼ貸切の状態でした。
青函トンネルが開通したのが、1988年。うろ覚えであるものの、それまで津軽海峡は船による運航で、トンネル開通後、さよならイベントがテレビで放送されていたのを覚えています。かつて、函館と青森間で多くの人を運んでいた青函連絡船。決して順風満帆ではなかったものの、戦前・戦中・戦後と、人々の足の支えになった軌跡は、記念館内の展示を見ても分かります。
展示されている写真を見る上では、画質云々は除いても、ボロボロの船体になるまで頑張ってきたんだなぁ… と、思いを馳せずにはいられません。

しかし、打って変わって金森赤レンガでは、それ自体がショッピング・レストラン街と言うだけあって、平日であるにも関わらず賑わっていました。当然、外は吹雪いていましたから、温かい中での話ですが。 (´∀`;)


さらにそこから函館山方面へ。
函館は坂の町。八幡坂通を登り、振り返れば白銀の函館港が一望できる! ……と思ったのですが、朝から降り続く吹雪は一向にやむ気配がなく、港は雪で霞んで全く色気がねぇ… (ノд`)
これはこれで貴重な景色… というふうに自分に言い聞かせているものの、やっぱりすっきりと晴れた時に再挑戦したいなぁ、と心に誓った瞬間なのでした。

カトリック元町教会函館ハリストス正教会

旧函館区公会堂函館市旧イギリス領事館

ただ、その代り教会群は、いずれも幻想的な光景を目にすることが出来ましたね。
厳しい冬の寒さの中で、孤独に耐えながらその社を構えている姿は、遠くから見ても伝わってきますし、近くは近くで、雪の厳しさとも相成って、より威厳を含めた様相を伝えてきます。

教会群から西へ足を進めると、元町公園と旧函館区公会堂、そして旧イギリス領事館が見えてきます。このあたりは、歴史的な建造物が密集していますから、徒歩で10~20分もあるけば、何かしらの社寺や教会、建造物に巡り合うことが出来ていいですね。
旧函館区公会堂は、建物の名前の如く、町の人たちのための集会所。にしては、すっごくゴージャスですよね。ちょっとした貴族の様な気分を味わうことが出来ます。実際に2階のホールでは、今でも演奏会を開いていたりもしているようですし。細部までのきめ細かな造形は、当時の日本の建築職人の業の片鱗を窺うことが出来ます。
旧イギリス領事館は、小ぢんまりとした建物ながらも、開国したばかりの日本での執務の様子を垣間見ることが出来ます。敷地内には、ローズガーデンがあるのですが、流石に雪が積もっていると色の無い真っ白な世界。ここも、いずれまた来る時の楽しみにしようと思います。 ^^



金森赤レンガ倉庫 (Kanamori Red Brick Warehouse) 旧函館区公会堂 (Old Public Hall Of Hakodate Ward)
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2013/02/17

[Travel Writing] 真冬の北の大地 - 中編②

札幌Photowalkでは、アカデミックなところを回りましたが、当然、ナイスなスポットも忘れてはいませんよ!

サッポロファクトリー - 一サッポロファクトリー - 二

その一つが、サッポロファクトリー。サッポロビールの本拠地です。こちらも、明治時代の開拓使が設立した、麦酒醸造所が発祥で、当時、ほとんど何もなかった札幌の地にあり、知名度どころか何も無いところから始まったにも関わらず、今では日本を代表する企業に成長しましたね。これも、フロンティア精神が生み出した所以でもあるのでしょう。
サッポロファクトリーのレンガ館では、無濾過のビールを堪能できるレストランや販売所がある他、お土産屋やレストラン、ブライダルにも利用されています。かつての工場の面影は、一部の展示に収まっているものの、外観や、どことなくレトロな店内の雰囲気が、往年の環境を感じさせます。

札幌の散策と言えば、大通公園ですが、真冬の大通公園は、どこもかしこも道路から除雪した雪が大量に積まれ、ほとんどの場所で立ち入り禁止のトラテープが… 公園内を歩けるところも多少はあるけれど、そんな状況だからか立ち入っている人もほとんどおらず、立ち入った足跡も無かったり…
う~ん。やはり大通公園は、雪まつりの時に行くべきだったか。他の季節では、桜だったりライラックだったりと、見どころ満載なんですけれどねぇ。こればっかりは仕方がありません。

札幌市遠望 - 一札幌市遠望 - 二

最後のスポットは、JRタワーの展望台。実は、前の晩に札幌に到着し、JRタワーの展望台に上ったのですが、吹雪のため全く見えず… (´д`)
この日も、午前中~昼過ぎくらいまで、曇っていたり、晴れたと思ったらまた雪がちらついたり、と、不安定な天気が続いたのですが、15時くらいからようやく天気も安定に。札幌を離れる直前に最後のチャンスとしてJRタワーに上りました。雲が完全に取れたわけではないものの、冷たく澄んだ空気のおかげで、遥か遠くまで見渡すことが出来ました。


この日、夜の鉄道で函館へ移動する計画ですが、その前に小樽へ。目的は勿論、冬の小樽運河です。 ^^

冬の小樽運河(夕暮)冬の小樽運河(黄昏)

小樽に到着した時は、もう山々に陽が落ちるか落ちないかくらいの日没時。いい感じに空が紫色に染まってきておりました。
徐々に空の色も暗くなり、小樽運河の灯りが点り始め… 黄昏の闇が街を覆う頃、幻想的な運河の光景が目に飛び込んできました。つんざくような寒さであるにも関わらず、しばし見惚れていました。
今回の北海道旅、流氷の他にも見たかったのが、真冬の小樽運河。雲が多かったためか、夕焼けの染まり方ももうちょい! という感じでしたが、それでも、紫色に染まりつつある空と小樽の街並みは美しかったですね~。
しかし何と言っても夜! 『小樽雪あかりの路』イベント開催中ということもあり、小樽運河を彩る灯りは、より一層、幻想的で美しく、また運河脇の倉庫に雪が積もっていたことで、冬ならではの厳しさと美しさが備わった光景を目の当たりにすることが出来ました。何物にも代えがたい経験に、ただただ、感謝せずにはいられません。 ^^



サッポロファクトリー (Sapporo Factory) 小樽運河 (Otaru Canal)
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[Travel Writing] 真冬の北の大地 - 中編①

札幌に初めて訪れた人の感想。

今、どの交差点を歩いているのかが分からない!

京都のように、四条通、堀川通、その交差点が四条堀川等、同じ格子状の街並みながらもどの交差点に今いるのか大体分かるのですが、札幌の場合、『北● 西●』等、方角と数字が組み合わさった交差点名で、慣れるまでに時間がかかる… (´д`)
今回は、GPS機能をフル活用したGoogle Mapsが大活躍しました。一度、地図を頭に叩き込めばそうそう迷うことなんて無いのですが、今回ばかりは勝手が違ったようです。
そう言えば、網走を歩いた時も、交差点の表記が『東● 南●』という感じでしたね。帯広や旭川でもそんな感じの交差点、と聞きましたが… 北海道ならではの交差点の名称の付け方なんでしょうかね。


冠雪の札幌市時計台札幌市時計台 - 二階ホール

冠雪の北海道庁旧本庁舎北海道庁旧本庁舎の展示室

古河記念講堂クラーク像

札幌では、札幌駅を起点にした近隣のスポットをPhotowalk。行きたいところは他にもたくさんあったのですが、積もった雪により歩きづらくなっている、ということもあり、無理をしない程度の距離内で済ませました。それだけでも、半日は楽しめるスポット目白押しだと思います。

旧札幌農学校演武場、今は札幌市時計台として親しまれている時計台。『がっかりスポット』の一つとして謳われつつも、周囲がビルに囲まれて景観的にいまいち、という理由だけで、建物の中身は、曾ての北海道の開拓時代の貴重な展示や資料が並んでおります。そういった意味では、北海道庁旧本庁舎もそうですね。レンガ造りの西洋館は、まるで大財閥の邸宅の様な雰囲気を醸し出していますが、曾て本庁舎として利用されていたと言わんばかりに、室内から溢れんばかりの威厳を感じることが出来ます。
こういった、過去から今に伝わる文化財は、僕の好みとするところですので、時間を忘れて見入っていました。漫画家・荒川弘さんの『百姓貴族』でも、北の大地と言う過酷な環境の中で、黙々と開拓を推し進める開拓者たちの志の強さたるや、僕の様な、都会にぬくぬくと暮らしているような人間からすれば、決して理解できるものではないと思います。ですが、彼らが生命ギリギリの中で切り開いたからこそ、こうして今があるのかもしれません。そんな風に思いを馳せながら、展示を見て回りました。

そういう開拓精神は、現在の北海道大学(札幌農学校→東北帝国大学農科大学→北海道帝国大学を経る)においても、脈々と受け継がれていますね。特に、北海道大学総合博物館の、1Fの展示物を見るとよく分かります。
殆ど何もない大地に、教育的にも産業的にも遥かに進んだ欧米の方々が招聘されて、さぞかし驚いたことでしょう。衝突もあったに違いありません(実際にあったようです。特に第二次世界大戦の時など…)。それでも、委託された事業を全うする姿、国境・人種の垣根を越えて、手を取り合って邁進するフロンティア精神は、現在にも通じるものがあると感じました。



北海道庁旧本庁舎 (Former Hokkaido Government Office) 北海道大学 (Hokkaido University)
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2013/02/16

[Travel Writing] 真冬の北の大地 - 前編

「流氷が見たい!」

そんな思いで計画を立てた、真冬の北海道旅。周囲からは「普通真冬に北海道なんて行くか!?」と言われましたが、真冬だからこそ見られるものもある! というポリシーはそう簡単に譲れるものではありません。
とは言え、流氷見るためだけに北海道行くのも味気ないなぁ、本当に流氷だけだったら、日帰りでも実現出来なくはないし、折角北海道に行くのだから、もちょっと色々なところを回りたいなぁ… と、考えは膨らみ、最終的に決まったのが、2泊3日で、中日が札幌、最終日が函館となりました。


博物館網走監獄 - 一博物館網走監獄 - 二

朝一の女満別空港へ向かう飛行機に乗り、空港に到着したのが9時くらい。12:30の流氷ツアーにはまだ時間があるため、寄った先は、知る人ぞ知る『博物館 網走監獄』! 明治時代から使われていた実際の監獄を、天都山に移築し、屋外博物館として保存され、現在でも中を見学することが出来ます。明治時代に建てられた監獄であり、当時の建造物・構造がそのまま残っている貴重な建物として、いくつかは有形文化財にも指定されています。
如何に罪を犯した囚人が収容される施設とは言え、当時の十分な防寒設備が無かった北の大地の監獄の厳しい環境は、展示を見ても推して知るべし、というところでしょう。何よりビックリしたのが、(無駄にw)リアリティを出している蝋人形の数々。特に休泊所は、労働した囚人が一旦休む施設なのですが、まるでモルグのよう… 「マジで怖ぇっ!」と唸ってしまったのは言うまでもありません。 ^^

ちなみに、いわゆる『臭い飯』の草分け(?)でもある、『監獄飯』は、4月~10月の期間限定であり、冬季は食べることが出来ませんでした。ま、まぁ、良かったのか良くなかったのか… (´∀`;)
また、現在の網走刑務所は、こことは別のところに建てられています。


監獄見学の後は、網走市街地を経て、流氷砕氷船『おーろら』に乗船し、流氷観測へ!

流氷とウミネコオホーツク海の流氷 - 一

オホーツク海の流氷 - 二オホーツク海の流氷 - 三

今冬はどうやら当たり年らしく、通常、流氷が北海道のオホーツク海側の海岸に接岸するのは、2月の上旬~半ばくらいからなのだそうですが、今年は寒波の影響もあり、1ヶ月以上も前、1月の半ばくらいから既に接岸したのだとか。事実、砕氷船に乗ってものの10分程度で、流氷が見え始め、みるみるうちに海が氷に覆われていくのですから!
流氷砕氷船『おーろら』は、網走港から出港しておよそ1時間程度周遊して戻ってくる遊覧船。力強く海原を掻き分け、厚い氷を割りながら進んでいく様は圧巻! 同じく流氷砕氷船である『ガリンコ号』は、紋別港から出港しており、流氷を観測する観光船として、両者は有名ですね。土曜日だということもありますが、シーズン中の週末は、どの時間帯も大混雑! ですので、船内の温かい環境で座りながら流氷観測するより、甲板に立ち、つんざくほどの冷たい風を受けながら、時にウミネコが飛ぶ様子を見ながら流氷を観測しました。気温は-10℃以下。船が進むごとに吹き付ける海風。並大抵の防寒具ではいけないことが、よーく分かります。相応のものは用意していましたが、それでも骨身に沁みるほどの寒さ、というか冷たさでした。 (´∀`;)


夕方、女満別空港へ行き、道内航路で新千歳空港→札幌へと向かいました。
が、ここで思わぬアクシデント発生。新千歳空港の滑走路が、降雪で覆われ、もしかしたら札幌行きの飛行機が着陸できず、女満別へ引き返す可能性もある! とのこと。 (゜д゜)
当然、網走で宿を取っているわけもなく、このまま滞在しても仕方ないことですし、もしかしたら札幌へ行けるかもしれない(戻ってくるかもしれないリスクも含む)ところをみすみす逃すわけにもいきませんので、意を決して搭乗。幸い、無事新千歳空港に到着し、札幌市内のホテルにチェックインすることが出来たのでした。 ε=(´∀`;)
無事、札幌に運んでくださった、機長をはじめ、パーサー、アテンダントの皆さんに感謝!



博物館網走監獄 (Abashiri Prison Museum) 網走流氷観光砕氷船 おーろら (Abashiri Drift Ice Sightseeing & Icebreaker Ship)
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