2011/11/12

[Movie] ステキな金縛り

エンターテインメント作品の真骨頂、三谷幸喜監督の作品はやっぱり面白かった! というのが率直な感想です。「あー、面白い映画を観た!」という充足感は、(個人的にですが)『ザ・マジックアワー』以上だったかもしれません。
『デスノート』のような『名前を書くと死ぬノート』のように、『幽霊という見えない存在が裁判で証人台に立つ』という設定は、何ともベタな設定と思っていたのですが、それでも面白く、しかも筋道を立て、要所要所で盛り上げていくのも凄い。昨今、既出の漫画を題材にしたり、既成作品をリメイクしたりなど、ドラマにオリジナリティが欠けていると実しやかに叫ばれていますが、見渡せばちゃんとあるじゃないですか! と言いたくなります。

本作では、メインキャラクターに、これまでの三谷監督作品では、あまり、またはほとんど見られなかった俳優さん達が起用されているように思います。その分、新鮮味があるように受け取りましたが。あ、西田敏行さんはもはや別格ですね。勿論、佐藤浩市さんや唐沢寿明さんなど、おなじみの顔がカメオで出演。ここらへんはもはや定番ということで。
割と真面目だったり、落ち着いたキャラクターを演じている印象を受ける、中井貴一さんや、市村正親さん、竹内結子さんも必見です。固定化された役柄という印象を打破し、コメディ作品でも光っていました。特に、中井貴一さんの、死んだ愛犬の幽霊があの世から(一時的ですが)現世に戻り、その愛犬とじゃれ合うシーンが一番印象的です。傍から見ればエアドッグ(笑)。幽霊が見えない人たちからすれば、「一体何やってんの?」的なところに、爆笑してしました。
勿論、幽霊が証言台に立つ、という作品ですから、大元の事件があるわけです。が、その事件のオチも秀逸。冷静に考えればこれほどあっさりした法廷闘争もない、とお思いでしょうが、そこに漕ぎつけるために、実在の人物も既に亡くなった人物もあの手この手で色んな策を練って法廷闘争に挑む、その過程が面白いんですね。

また、本作では、所々で三谷監督がフィーチャー映画作品の要素が盛り込まれているそうです。と言ってみたものの、それを細かく紹介できるほど私は映画に詳しくないですし、パンフレットを見て「ああ、なるほど!」と後付けで思ったクチですので、大声で通ぶっているように「実はこのシーンでこの映画が云々」とは申し上げられません。ですので、ここは、皆様ご自身でご確認下さい…


『ザ・有頂天ホテル』でも『ザ・マジックアワー』でも、ラストのシーンはこれまでの登場人物が(ほぼ)総出で、ラストらしく賑やかなシーンが繰り広げられますね。今作ではちょっとしっとりめ。全編が笑いに包まれていますので、ジンワリと来るラストかと思いますが、勿論、そこでも笑いの要素は欠かせません。
また、本作の主題歌は、深津絵里さんと西田敏行さんがユニット組み、KANさん、中井貴一さん、阿部寛さん、小林隆さんが『法廷ボーイズ』としてコーラスを担当しています。凄いきれいです。こちらも聞き漏れなさいませんよう!


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