【名】
1. 接触伝染(病)、感染、伝染(病)、病原菌
2. 悪影響、感化
自然災害にしても、伝染病にしても、限定された地域によって引き起こされた事象であり、他に避難場所、逃げ場所があるのであればまだしも、世界中、いや、地球上のどこにでも引き起こされた事象であって、宇宙空間にでもない限り、逃げ場所が無いような事象が発生したらどうなるか
これは、それを実写化した作品。それも、出来る限りリアルに、今まさに現実空間でも起こり得そうな事象として描いている。
一番最初の映像が、『2日目』から始まる、というのがまた面白い。何らかのウィルスに感染した女性の病状が重くなり、次第に衰弱し、死に至る。その女性と何らかの形で接触した人も、さらにその接触した人が、さらに… という風に、ウィルスは爆発的に広がる。現在のテクノロジーは、船舶どころか、航空機による人の往来も簡単に行うことが出来るため、曾てのペストやチフス以上の広がり方を見せ、地球上であればもはや逃げ場所などどこにも無くなってしまうだろう。
そしてそうなった時、人は、まず『自分こそ』が助かるように行動する。相手が、友人であろうが恋人であろうが家族であろうが関係ない。全ては自分の、いや、自分『だけ』のためだ。そして人は、自分が今すぐにでも助かるためなら、それが何であろうと、十分な検証が行われていようがいまいが関わらず、我先に手を伸ばす。自分『だけ』が助かるための『何か』を手に入れるためならば、どんな手段をも厭わない。
「人間は、考える葦である」「人間は理性を持った唯一の動物」
そんな風に言われ続けていたとしても、やはり根幹は動物。自分の生命が危機に瀕していると知れば、どんな暴力、どんな略奪もしてしまうだろう。動物的本能の持つがままに。
しかし、それはそんな事態になることに対する警鐘を鳴らしているわけでもなく、そのウィルスを根絶しようとするための医師や薬剤師の奮闘記を描いているわけでもない。これらはあくまで物語の構想の一つに過ぎない。危機に直面した人間がどのような行動に出るのかを、ただ、淡々と表現するためのものだ。そう言う意味では、冷静に沈着にことを運び、ただ人を助けようと諸所奔走する者、己だけが助かりたいがために略奪を繰り返す者、守るべきもののために敢えて暴力を手にする者など、危機に対するありかた、自分の考え方、そこから出る行動が、その者の『人間性』として顕れている。
パンデミックそのもの、というより、人間の本性をリアルに、且つ暴力的に表現した、非常に興味深い作品の一つと言えよう。但し、こんなパンデミックが、現実に起ってほしくないとは考えるが。何せ、日本人にとってみれば、東日本大震災から、まだ間もなく、今も尚、疲弊の爪痕がそこかしこに残っているのだから…
そして、物語の最後に、ようやく『1日目』が明らかになる。本当の感染源は何か。『第1日目』を最後にして、全ての事と次第を見納める、という表現の仕方も面白い。
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