小惑星探査機『はやぶさ』が、2010年6月に地球に帰ってきたニュース。日本だけでなく、世界中がその瞬間を固唾を飲んで見守っていました。月より遠い天体からサンプルリターンするという、前代未聞の偉業。その瞬間、『突飛もない理想』とか『夢物語』と揶揄された事業が、一つの『実績』となりました。
世界を席巻した『はやぶさ』プロジェクト。ニュースにも感動的に取り上げられたことから、方々な面で『映画化決定!』と言わしめられ、そして映画化になったのですが、
主演:渡辺謙 監督:瀧本智行
主演:竹内結子 監督:堤幸彦
と、同じ題材なのに主演が2人存在する別の作品があるのは何故?
しかし結果としていずれの情報も本当。それどころか、他にも『はやぶさ』を題材とした作品があり、しかもリメイクでも何でもなく。ほぼ同時発表で、同じ題材の作品を2つも3つも公開する、というのは、極めて珍しい状況なんでしょう。それぞれの作品を見比べて、その作品がどのようなテーマを置いて製作されているのかを堪能するのも、面白いかもしれません。
しかし結果としていずれの情報も本当。それどころか、他にも『はやぶさ』を題材とした作品があり、しかもリメイクでも何でもなく。ほぼ同時発表で、同じ題材の作品を2つも3つも公開する、というのは、極めて珍しい状況なんでしょう。それぞれの作品を見比べて、その作品がどのようなテーマを置いて製作されているのかを堪能するのも、面白いかもしれません。
『はやぶさ』プロジェクトの映画作品の第1弾とも言うべき、『はやぶさ/HAYABUSA』について。
本作の主人公である、竹内結子さんが演じる水沢恵は、架空の人物。天文物理を専攻しているものの、それが本当に自分が心からやりたいことなのかを見いだせず、ふとしたきっかけで『はやぶさ』プロジェクトに関わり、打ち上げから帰還までの一連に関わりながら、様々な研究者・スタッフと触れ合い、叱咤激励を受け、自分の本当の道を見出す、というストーリー。
というわけで、本作はどちらかというと、『はやぶさ』プロジェクトは話のタネで、満身創痍になりながらも無事帰還を成し遂げた『はやぶさ』を目の当たりにしながら、自分が成長の道を見出す、というのが主眼の物語です。
『話のタネ』と申しましたが、別に単なる物語を盛り上げるための道具に過ぎないわけではありません。『はやぶさ』もキャラクターの一つです。単なる製作者の『想い』を込めた実験装置として一方的に『はやぶさ』打ち上げたのではなく、何度も苦難の道を歩みながらも帰還のために奮闘した『はやぶさ』の姿に、それを製作した側の人間の方が『想い』を吹き込まれる。そういったことから、『はやぶさ』にも人格を持たせたのだと思います。
『人』対『モノ』という、一方的で支配従属的な関係ではなく、『人』対『人』のように、お互いが影響し合う、というのがこの作品のコンセプトなのでしょう。
だからなのかもしれませんが、『はやぶさ』プロジェクトの苦労話や成功秘話、チームの結束感、仕事としての充実感を作品から味わいたい、という視点では、少し物足りないのかもしれません。また、水沢恵は架空の人物。さらにその架空の人物が、『はやぶさ』プロジェクトに関わる博士課程の大学院生で、非常に行動な天文物理学を習得しているにも関わらず、彼女が登場する場面の多くが、広報に使用する絵や文章を書いたり、写真を撮ったりと、おおよそ科学者の行動っぽくないところが、拍子抜けするところではないかと(広報の仕事は勿論重要なのですが、『はやぶさ』の絵ばっかり描いてるシーンが連続するのはちょっと… というのが率直な感想)。
とはいえ、ボロボロの状態でも最後の力を振り絞って地球の姿を撮影し、大気圏に突入して燃え尽きる様は、やはり何度見ても感動ですね。
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