数年前の冬、鳥取から津山へ向かう因美線に揺られていると、窓の外から見える雪化粧の美しさに目を奪われ、見入ってしまったのを覚えています。結局その時の旅は、その雪化粧の景色は単に通り過ぎるだけの存在でしたので、旅が終わった後は少しばかり後悔の念に浸っていましたが、やはり忘れることが出来ないということもあり、Photowalkとして、今度こそその場所を訪ねよう、と決心した次第です。
それが、鳥取県と岡山県の県境にある、智頭です。
東京に住み、方々を旅する者からすると、最大のアドバンテージは、北海道から沖縄までの旅に格別の自由さがある、ということ。北海道・沖縄は飛行機が必要になりますが、例えば新幹線であれば、北は青森、西は大阪・岡山・広島まで比較的簡単に行くことが出来ます。その新幹線も今や九州まで路線が伸びているので、その広がる自由度たるや押して知るべし、という感じです。
一方、個人的に大阪にお住いの方のアドバンテージと言ったら、四国や北陸、山陰地方へ簡単に足を伸ばせる、ということ。来る北陸新幹線の開業に向けて、東京からも1本で北陸へ行けるようになりますが、夜行バスや寝台特急でも利用しない限り、四国・山陰は東京からではそうやすやすと行けるところではありません。
それでも、一度見た時の募る旅情は抑えることが出来ず、スケジュール調整の網目を掻い潜ってやってきた次第です。
前日までの日本海側を中心に雪が降る、という予報をキャッチしていたので、僕の望む雪化粧の街並みを見ることが出来て、到着直後から感無量、という感じです(早すぎw)。想像したより積雪量は少ないようにも感じましたが、この際ですから贅沢は言えません。
江戸時代、鳥取藩の宿場町として栄えた智頭宿。藩主が参勤交代の折に利用した家屋や本陣の跡は、今でも残っており、当時の賑わい、活気が偲ばれます。とは言え、鳥取と岡山の県境という立地、雪が積もる冬の季節、というだけあって、休日にも関わらず人の数は多くはありませんでした。まぁその甲斐あって、気兼ねなく廻ることが出来たのですけれどw
それでも、午後になれば雲は引いて晴れになり、燦々と降り注ぐ太陽の光が、冬の昼間の暖かみを恵みとして与えてくれます。それと同じくして、訪れる人も少しずつ多くなってきました。
そんな中でも、海外からの観光客もちらほらいらっしゃるようで。やっぱり、こういう街並み・風景を好んでくださる人は、大都市圏から遠い・近い関係なく訪れるんだなぁ… と感嘆するばかりでした。
古い家屋だけかと思いましたが、明治以降に建築された西洋館もいくつかあります。江戸時代が終わり、その賑わいは明治初期まで保たれ、明治以降は時代に即した建築物に様相を変えていく… そんな、時代の流れを垣間見ることが出来るところでもあります。
智頭宿の街並みと、国道を挟んで並ぶように流れているのが千代川。河川敷には桜が植えられています。当然この時期はまだ蕾は固く。でも、春になったら、薄紅の桜が、川を、通りを包み込むのでしょう。そんな時期に街を歩くのも、またオツかもしれません。
智頭に来て初めて知ったことと言えば、有数の杉の産地だということ。民家の軒に吊り下げられたり、または飾られたりしている杉玉は勿論、木工産業も盛んで、一部の古民家では蔵造りを小さな資料館にして、様々な木工品が展示されています。
『智頭』『杉』で検索すると、地元から発信されている杉を活用した建設会社や家具・調度品の会社も。地道ながらも、こういったことが、一つのブランドとして広く知れ渡り、活用され、地域振興になれば、と思っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿